生産性の低い組織によくある思考

最近、労働時間を短くして生産性を高めるという言葉を良く聞くようになりましたね。残業したらダメ、家に持って帰ってもダメ、人員不足の中どうすればいいんだ?と悩む管理職が増えました。企業では様々な取り組みを行っている事だと思いますが、先日ある社長が仰っていた言葉が印象的でした。

生産性を上げるにはどうしたらいいのかと考えたら、今の社員をもっと働かせればいいんだ!給料はそのままで、仕事のスピードを上げさせれば良い、今までが遅かったんだから。

その会社の業務内容が分からないので何とも言えませんが、この言葉を聞いて、正直、しっくり来ない感じがしました。

今までが遅かったんだから…という今までを管理し、認めていたのは社長であるあなたではないのでしょうか?給料がそのまま仕事のスピードを上げろ!と言われた社員さん達は、どんな感情を抱くのでしょう…

精神的安定を感じる場所を用意する

組織というものには、色々な価値観を持った個人が集まります。その集合した場所で「自分自身の安全性」を感じれるか?感じれないか?で、その人が発揮できる能力には雲泥の差があります。

誰もが経験したことがあるとは思いますが、初めてアルバイトに行った時、どこに居れば良いのか?何をすればいいのか?休憩に行って良いのか?誰に質問すればいいのか?分からない事ばかりで、「不安」を感じながら緊張した初日がある事だと思います。

この初日のような緊張感は、次第に薄れ、一緒に仕事をする人達とも談笑が出来るぐらいにまでなった時には、自分の居場所をが見つかった時だと思うんです。

この自分の居場所を少しでも早く見つけれるように組織側の人達に出来ることは無いでしょうか?

ウェルカムウィーク(新人さんが入社した時にみんなで迎える仕組み)
エスコートスタッフ(社内業務を伴走しながら教える担当者)
歓迎会などもその一つでしょう。

いち早く、組織のメンバーとして「能力を発揮」して貰わないと、組織としては「機会の損失」を長引かせている状態に他なりません。

切磋琢磨できる仲間がいる組織づくり

居場所を確保した後は、自分の能力を発揮しさらなるステージへと進化成長して貰う事が組織が求める事です。それに重要なのは、正しいライバルの存在です。 お互いがお互いを尊重し、相手に敬意を持って接する。このような関係を築いている組織は、非常に明るく笑顔が絶えません。

その逆でよくあるのが、「足を引っ張る関係」… 相手を罵り、相手の失敗ばかりを責め立てる。このような組織は陰険で、責任の擦り付け合いばかりで、無責任な言動が目立ち、個人も組織の成長や進化も遅らせてしまいます。

自社のライバル会社とは、常に競争です。マーケットで相手と戦う前に自分達の組織内でまとまれない会社が勝てるはずがありません。

組織を大切にできる人の集まりにする

自分が所属する組織がマーケットから必要とされているかどうか?
どれだけのファンがいるか?
どれだけ応援してくれる人たちがいるのか?

ただ、目的も無く意味も無く、自分が生活するためにだけ働いているとするならば、その程度のエネルギーしか出せていないでしょう。

本当はもっと能力がある人なのに。

自分が所属する組織に対して「愛情」が持てない人から商品やサービスを提供されても、顧客は喜びませんよね。
もう、顧客は購入したり所有することで満足しない時代です。どんな商品でもサービスでも「共感」出来なければ、継続的購買には至らないのですから。

自分が所属している組織や会社、自分が販売している商品やサービス、自信を持って顧客に進めれない仕事で、その人が進化・成長するでしょうか?

組織側としては、一緒に働く仲間には「自社ブランド」の構築に対して、もっともっと理解して貰えるような仕組みや仕掛けが必要だと思うんですよね。

結果的に、自分が所属する組織が大好きで、提供する商品やサービスにも自信があって、一緒に働く仲間にも「愛」がある。言葉にするとこそばい感じもしますが、これってめちゃくちゃ大切な事だと思います。

ひとりひとりが人生を豊かにするという思いがある

生産性を高めるという事は、そこに所属する人たちが様々な課題や問題を克服する取り組みの中にあると思うんです。

冒頭の社長の言葉のように「やらせる」ものではなく、自分たち自身で必要に応じて取り組む事であって、その取り組みそのものは「顧客満足」を求めるものでもあるし、「従業員満足」を高めるものでもある。
1日24時間の殆んどを仕事に費やすんだから、その仕事を行う組織は楽しい場所でなければダメ。ムリ・ムダ・ムラは、誰かにシワ寄せが行くだけで、その人が居なくなるとたちまち廻らなくなる。これでは組織とは言えない。

組織に属する人、一人一人が心身ともに安心して人生を豊かさを感じれる場所。

こんな場所こそが、「真の生産性」を高める場所なんだと私は思うんです。